秘密保護法案、衆院通過 ノーを突き付けて廃案に
(北海道新聞11月27日社説) 国民の「知る権利」を脅かす悪法を数の力で押し通すとは、政府・与党の横暴というほかない。 政府が指定した機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案がきのう衆院を通過し、参院に送られた。与党が採決を強行し、みんなの党が賛成、日本維新の会は棄権した。 法案はきょう成立する日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設法と一体で、安倍晋三首相が掲げる積極的平和主義に基づく安全保障政策を推し進める狙いがある。 首相は最終的に自衛隊の海外での武力行使に道を開くことを目指している。両法制定はその第一歩だ。 秘密保護法の危険は国民の身近な生活にも及ぶ。特定秘密と知らずにある情報を取得しようと、だれかと話し合っただけで処罰されかねないような怖さを法案は抱えている。 国の行方から市民の日常まで深刻な危険にさらす法案だ。何としても廃案に追い込まなければならない。 参院審議で問題点を徹底的に明らかにするとともに、国民が反対の声をより強く突き付ける必要がある。 ■平和主義踏みにじる 首相は中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発を引き合いに「わが国を取り巻く情勢は厳しさを増している」と再三、強調している。 積極的平和主義は日本が従来より踏み込んで米国の軍事力を補完する役割を担うものだ。日米同盟強化で中国などに対抗する狙いもある。 国力低下で軍事費に多くを割けない米国にとっても首相の方針は好都合だが、日本と共有した軍事情報が漏れては困る。そこで日本側に求めたのが、NSC創設と秘密保護法制による情報漏れのない器づくりだ。 首相はその完成後、集団的自衛権行使を認める国家安全保障基本法を制定し、自衛隊の海外での武力行使を前提に日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を見直して日本の軍事的役割を強化する道筋を描く。 その意味で秘密保護法は憲法の平和主義にも反する。国民主権や基本的人権の尊重と合わせ、憲法の原則をことごとく踏みにじる極めて悪質な法案だ。中国などの脅威を口実に制定することは認められない。 ■市民の活動も脅かす 安全保障に関わる分野では一定期間、表に出さない方がいい情報はあるだろう。しかし民主国家では、そんな情報もそもそも国民のものだ。 情報漏えい防止は現行法で十分にできる。仮に新法が必要だとしても米国との情報共有が狙いなら防衛分野だけで済むはずだ。だが法案は外交やスパイ防止、テロ防止分野も対象とし、取得にも罰則を科した。 情報を独占し、権限を強めたい中央官僚が新法制定に便乗して秘密の範囲を広げ、秘密への接近にも予防線を張った。その結果、法案は広く国民を危険にさらす中身になった。 一般国民は何が特定秘密で、だれが秘密を扱っているか分からない。だが法案は「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」により秘密を取得すれば最高懲役10年を科す。 市民団体が自衛隊基地の監視活動をした場合、監視対象に特定秘密が入っていれば「管理を害した」として罪に問われかねない。 秘密の漏えいや取得をめぐり共謀、教唆、扇動すれば、実際に秘密が漏れなくても最高懲役5年となる。 例えば避難計画策定のため原発情報を得ようとだれかと話し合ったり、だれかに働きかけたり、大勢の前で呼びかけたりした場合、その情報が特定秘密なら入手していなくても罰せられる恐れがある。 ■国民より国家を重視 問題の多い法案を象徴するように森雅子担当相の国会答弁は揺れた。 秘密指定が妥当か判断する第三者機関設置や報道機関への強制捜査をめぐる答弁は他の閣僚らと食い違い、「改善を法案成立後も尽くしたい」と成立後の見直しにも言及した。政府自ら欠陥を認めたに等しい。 行政が際限なく秘密を指定でき、国会や司法のチェックも効かない。国民は何が秘密か分からないまま処罰される。政府・与党はこんな法案をわずか2週間ほどの衆院審議で力ずくで通過させた。 国民の声を聴き丁寧に審議すると言っていたのはポーズだったのか。 国民よりも国家を重視する安倍政権の本質があらわになった。 国政調査権を侵害し、国権の最高機関である国会の地位を脅かす法案に唯々諾々と従う自民、公明両与党と、名ばかりの修正で与党にすり寄ったみんなの党や維新の会は「翼賛政党」と言われても仕方あるまい。 野党第1党の民主党は法案に反対する一方で与党と修正協議も行うなど中途半端で、野党をまとめることもできなかった。もっと国民目線に立って政府・与党に対抗すべきだ。 福島県での地方公聴会では与党の推薦を含む7人全員が法案に反対や慎重審議を求めた。異例なことだ。 法案の問題点が浸透するにつれ、反対集会も全国各地で開かれ、札幌弁護士会もきょう、緊急の街頭デモを行う。こうした国民の動きを与野党とも重く受け止めるべきだ。
by kenpou28
| 2013-11-27 14:14
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◆お知らせ◆
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