「秘密保護法案を問う テロ・スパイ捜査」(毎日新聞)

<毎日新聞11月10日社説>

 秘密保護法案を問う テロ・スパイ捜査

 ◇歯止めが利かぬ懸念

特定秘密保護法案では、防衛や外交分野だけでなく、テロ活動防止とスパイ活動防止に関する捜査や調査の情報も特定秘密の対象となる。その指定を担うのは主に警察庁と公安調査庁で、指定の権限を持つ「行政機関の長」は、警察庁長官と公安調査庁長官だ。両者の判断で特定秘密の指定に加えて5年ごとの延長が決められる。それは内閣の承認が必要となる30年まで続く。

監視活動が主体の公安捜査はともすれば行き過ぎる傾向にあり、国民の人権上の観点からも看過できない。両庁の指定は問題が大きい。

2001年の米同時多発テロ以降、テロ捜査での国際協力が推進され、外国の捜査機関との情報共有が進んだ。テロ防止に関する情報漏れを防ぐ必要性も強調された。

08年に当時の自民党政権が、秘密保全法制について検討チームを作った。具体的な内容を検討する作業チームには、内閣官房や外務、防衛両省のほか、警察庁と公安調査庁のメンバーが加わった。今回の法案作成に関して、両庁が当初から主導的な役割を担っていたのだ。

そもそも、テロ・スパイ活動防止のために特定秘密の指定が不可欠なのか。警視庁公安部の国際テロ捜査に関する内部資料が10年、インターネット上に大量流出した事件があった。外国情報機関からの提供情報も多数含まれ、警視庁は面目を失った。だが、内部とみられる犯人の逮捕に至らず、先月時効を迎えた。

漏えいの罰則を最高懲役10年に引き上げたところで、抑止力になるとは限らない。情報取扱者の限定と厳重な警戒など、まず部内での情報管理を徹底させる方策に力を入れるのが最優先だ。

特定秘密を隠れみのに、公安捜査が暴走し、歯止めが利かなくなる恐れはないか。そちらの方が心配だ。

流出した国際テロ捜査資料には、在日イスラム教徒や捜査協力者約1000人分の名前や住所、顔写真、交友関係などの個人情報も含まれていた。法案別表の規定によれば、特定秘密への指定が可能だ。問題なのは、こうして集められた個人情報にテロとは無関係のものが多数含まれていたことだ。国際結婚したり、イスラム教徒だったりしただけでテロリストと結びつけられた例があった。

スパイ活動の防止にも同じことが言えるが、人を監視することによって得られる情報は、国民の人権やプライバシーと衝突する危険性をはらむ。両庁以外の目が入る仕組みがなければ、市民生活が脅かされる。
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by kenpou28 | 2013-11-10 16:47
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